ニーとA君は小学校から中学校まで一緒の同級生だった。
しかしニーは不思議な縁でA君とやたら対立することが多かった。
(今では、連絡を取り合う程の親友です)
ニーが学級委員ならA君は体育委員、ニーが生徒会なら、A君は体育委員長のようなシチュエーションが多く、
ニーがリーダーにカテゴライズされるなら、A君はガキ大将という言葉が似合っている。
二人とも目立ちたがり屋で、そこそこ人気者、リーダー格という共通点があった。
この二人が同じクラスになった時、二人の間に何かが起こる。
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それは小学校4年生の時、ニーと初めて同じクラスになったA君は人気者で目立つニーの事をあまりよく思っていなかったようだ。
A君は、超体育会系で、子分のような子を周りに侍らせている。
それに対して、ニーは男女関係なく、また性格関係なくみんなと平等に接するタイプ(先生曰く)で、学級委員をするなどクラス全体で信頼されていたのかもしれない。
A君は当時そこが気に入らなかったのかもしれない。
またニーは学校の先生と親しくする事が多かったので、反体制(対学校)のA君には敵に見えていたのかもしれない。
ニーの友達に声をかけまくり、ニーの悪口を言い、自分の味方になるように指示し始めた。
「あいつ、弱っちいぜ!運動神経もへなちょこだし。」(昭和っぽい💦)
A君の体育会系特有の脅しに恐れをなしたニーの友達達は、A君の味方に付き出し、急にA君の指示の元、複数人でニーを貶し始めるという状況に陥った。
A君の味方になったのは、ニーの友達全員ではない。
当時からちゃんとA君とニーを見通してくれる視点を持った子も少なからずいた。
しかしそれでも、妙な迫力のA君にはやはりどこか関わりたくない気持ちもあったのかもしれない。
またA君に靡いた子達は少なからず「ワル」に対する憧れ、「ワル」を地でいくA君に少なからず魅力を感じていた子達だったと思う。
ニーはその状況に驚いていた。もちろん得意の言葉で、その都度うまい具合に仕返しした。
「弱いって、それはお前の方だろ。」
「何バカ言ってんだ。」
「自分らそれで本当にいいと思ってるの?」
しかし、そんなニーも複数の子達に言われる事が重なり、その日ついにママに報告した。
小4の秋だった。
何だと〜〜💢
ママはそれまでニーにいじめがあるような事は初めてだった事、とにかく驚き、卑怯な手を使ってニーを貶しめるA君とその悪ガキ達に対する怒りで一瞬我を失った。
電話だ!!学校に電話だ!!担任に報告せんと!!!
その時一瞬だけ冷静になった私は、一応チャーにLINEで報告した。
この冷静さがなければ、おそらく事後報告になっていたと思う。
学校に連絡ちょっと待って!!!
チャーからの指示だった。「なぜ?こういう事は早く対応しないと。」という私に「今すぐ帰る!」と飛ぶように帰ってきたチャー。
チャーは帰宅すると、ニーと私に今後の対処法を説明した。
①まずは明日、ニーが自分でA君や悪い友達一人一人を個別に呼び出し、仲間はずれにされている事で困っていると自分で伝えよ。
②それでもA君達の仲間はずれ行為がやまない場合は、ママが学年主任を交えた担任二人と相談をする事。
③それでもやまない場合はこれで最後だ。俺(チャー)とママで教頭と校長に最後の通達に行く。
チャーの段取りを聞いていたニーは事の重大さにようやく気がついたようで、①に関して頑張ってみる、と言った。その顔には明らかに覚悟があった。
今から思うに、あのA君に、しかも1対多数でやられている状況で、やり返しに行くという事自体がものすごい量の勇気と半端ない覚悟が必要だったと思う。
チャーはニーには内緒で「明日一応担任には報告だけしといて。」と私に言った。
保険をかける事を忘れていない、抜かりない、チャー。
翌日ニーは早速タイミングを見てA君を呼び出し、しっかりと言い切った。
「俺、みんなでやってくる事、俺めっちゃ嫌なんだけど、本当にやめてほしい!」
そしてその瞬間、ニーも驚いた。
A君は急にシュンとなり、「うん…」と小さく返事をした後、ダッと走り去ったと言う。
その後、急にニーといきなり大袈裟なほど仲良くし始め、肩を組み「だよな?ニー君!!」とばかりに周りの友達も驚くほどだったそうだ(帰宅後のニーの話による)。
その後、A君やその周りの友達との関係にはこれといったトラブルはなくなった。
ちょっとした茶化し合い位はあったかと思うが。
後から考えると、A君はおそらくニーの言葉や声色の迫力の中にチャーの言った「事を大きくするとそのバックには担任&学年主任、さらに校長&教頭が待っているぞ!」といった凄みを読み取ったのではないか、と推測している。
A君のお父さんは怖い人らしいから、そんなことでも表に出るとA君はたまったものではない状況だったのかもしれない。あくまで推測だが。。
シュンとなったA君を見てニーは驚いたらしい。
この子、なんてちっちゃいんだろう。
迫力のあるはずのA君がニーの目にはとても小さく見えたそうだ。
いじめをする側は、いじめられる側の気持ちなどわからない。
もしかしたらA君は初めてニーの気持ち、強い苦痛を知ったのかもしれない。
その後、小5に上がっても(クラスは離れたが)中学に上がってもA君とは生徒会選挙や立候補する役員で被るといった対立図式が多くあったが、ニーの話から、A君はニーの事を十分認めてくれて一緒に頑張ろうといった態度で接している事が読み取れた。
「自分からいじめっ子に自分の感情・意見を発する」
A君の事は当時私もいたたまれない気持ちだったが、この経験はニーの中でニーの人生でかなり貴重な経験であった事は言うまでもない。
あの時私が即座に学校に電話し、親の力でA君とニーの関係をどうにかしようとしていたら、A君のニーへの気持ちや評価はその後あきらかに変わっていたように思う。もちろん、手遅れになっているいじめの場合は親の介入は絶対必須だと思うが、子供の話を聞いた後ワンクッション置く事も大事かもしれない。
コミュ力はこういった経験から出来上がるのではないか、と一瞬脳裏に浮かび、当時の記憶を辿りながら言語化してみました。
A君は得意のスポーツで今も夢に向かって頑張っており、ニーもA君の夢を応援しつつ勉強と部活を頑張っている。